都会の生活に疲れ果て遂には統合失調症を患った妻と、甲斐甲斐しくその介護をする夫…。海の見える療養所に入院し、その日も二人で浜辺の散歩を楽しんでいたのだが…。そこに倒れていたダイバーを発見した妻は何故かこの女性を『人魚』と勘違いし、真実を知る夫も捨てては置けぬため療養所の自分達の部屋へと運び込んだ。妻は無邪気に本当の人魚を拾ったのだと夫に世話をするように申し付けたのだが、この女性が少しでも見当たらないと病状が悪化し、慌てふためき心乱すので夫は妻可愛さにこの女性をしばらくの間監禁することにしたのだったー。逃げ出さぬように縄で拘束し、自分達の正体がばれぬように目隠しをして世話をする。たまに妻が『人魚』の様子を見に来るのを満足げに眺めていた夫だったが、いつしかその身動きの取れぬこの哀れな女性に劣情を抱くようになっていった…。
夫は夜な夜な妻が眠ったのを見計らい、拘束・監禁された『人魚』の元へと足しげく通った。当初はまともに世話をしていたのだが、その抵抗ひとつせぬ姿に劣情を催し遂にはその欲望をぶつけていったのである…。そのうちに療養所の職員も巻き込み、幾度と無く凄惨な夜は過ぎていった…。…夫も、妻が繰り返す『人魚』の言葉にこの女性ダイバーをそう思い込むようになってしまったのか…、或いは…。ただ確かなことは、地上に上がって帰郷できぬ哀れな『人魚』が存在したことである。



